実際面白い

 今日のテーマはニンジャである。忍者ではなくニンジャ。これはもうニンジャスレイヤーの話をしろと言わんばかりである。だが、ニンジャスレイヤーの面白さを伝えるには一体どうすれば良いのか? 私はほんやくチームや原作者のように面白おかしい言語センスを持ち合わせているわけではない。然り、ニンジャスレイヤーとは、彼らの異常な言語感覚と、我々が典型と思っているところのアメリカ人の間違った日本観が程よい調和を見せる気もなくごちゃ混ぜに放り込まれているところなのである。しかし、それではまだニンジャスレイヤーについて何も語っていない。

 ニンジャスレイヤーとはアメリカ人である、ブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズの手によるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説である。舞台はソウカイヤやザイバツ、メガコーポに支配された近未来の日本であり、そこではサイバネティックス技術が一般化している。街には重金属の雨が降り、全体としてカチグミとマケグミに分断された厳しい階級社会である。そんなマッポーの世の中で暗躍するのがニンジャである。ニンジャは超人的な能力を持ち、一般人はおろかマッポ(警察)にも手の付けようのない存在として君臨する。如何にニンジャが恐ろしい存在かというと、一般人はニンジャを見ただけで失禁するほどである。

 ニンジャスレイヤーとは、このような滅茶苦茶な世界においてソウカイヤのニンジャに家族を殺されたサラリマンが、憑依したニンジャ・ソウルによって自らもニンジャとなり、復讐を遂げるお話である。上記の設定を見ても判る通り、原作者は妙に日本の事情に通暁している。しかもそれは微妙に間違っており、なおかつ文章で用いられる言語感覚は、しつこいようだが異常である。例えばニンジャ同士は遭遇した際必ず「ドーモ」とアイサツせねばならない。一石二鳥に相当する言葉は何故か「アブハチトラズ」である。そして、気合を入れる際には「Wasshoi!」と叫び、インガオホー(因果応報と思われる)なる叫びは濫用される。アメリカ人が「ジーサズ!」と言うシーンは全て「ブッダ!」に置き換えられている。そんなことを言う日本人などどこにいるのかと思いたいが、まぁ「お釈迦になる」という言い方もあるので、大きく外れてはいないのがまた何とも言えない気分にさせられる。そんな混沌とした中にあって、戦闘シーンはあくまで爽快かつ単純。ひたすらに「イヤーッ!」「グワーッ!」が乱発される。しかし、それが却って心地よい。以上の「混ぜるな危険」が、我々に中毒症状をもたらすのである。

 なお、ニンジャスレイヤーは公刊されているが、実のところネットですべてタダで読める。ニンジャスレイヤー@Wiki辺りで適当な話を読んでみて欲しい。また翻訳はリアルタイムで行われ、Twitterに投下される。Twitterをやっている方は、そちらも見逃せないだろう。

 この春、新しい刺激を求めるならば、是非ともニンジャスレイヤーを読んで欲しい。ニンジャスレイヤーの紹介は以上である。


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