ガチャガチャ

 本日の共通テーマはガチャガチャである。ガチャガチャといえば一般には、ハンドルを回せばカプセルの出てくる機械が想起されよう。しかしここはひどいインターネットである。そんな現実世界の常識は通用しない。ここ、インターネットでガチャガチャといえば……そう、ソーシャルゲームである。もっというとモバマスである。そして、モバマスと言えば千川ちひろなる事務員が思い起こされる。彼女こそはユーザーから金を搾り取る悪魔……そうお思いの方も多いと思われるほどに、その畜生ぶりは知られている。他方で、ユーザーに様々なアイテムやガチャを引くためのチケットを恵むことがたまにあることから、天使として扱われることもある。さて、ちひろは天使なのか、それとも悪魔なのか?


 カトリック小事典(エンデルレ書店編集部)によると、天使とは神によって造られた純粋な霊のことであるとされる。そしてそれが「使い」と呼ばれるのは、その天使のうち一部が神の言葉を伝えに地上に降りるから、と説明されている。他方で、悪魔とは堕落した天使又は悪霊のことであるとされる。高慢によって罪を大足、他の多くの天使たちとともに至福直観を拒否されたものであるようである。これだけの記述であると、天使概念は悪魔を包摂するものであるということになる。しかしそれではやや対比に困るし、悪いものも天使だとは普通言わない。そこで、以下では悪魔の定義を反対解釈し、天使とは神によって造られた純粋な霊のうち堕落していないもの、という前提で論ずることとする。


 さて、ちひろをこの定義に当てはめるとどうなるか。ちひろは純粋な霊ではないことから、何れにも該当しないということになろう。それでは天使でも悪魔でもないちひろは何者なのか? それは、金の亡者であろう。金の亡者の意味は、金銭欲に取りつかれた者だからである。しかし、このように内包を狭くしてしまうと、様々な対象に対して同じことが言えてしまい面白くないというのはその通りである。人々の興味を引くのは、もっと豊かな内包を持った、翻って、外延が狭まり、究極的には1つの対象に限定されるような……端的に言うとユニークな存在である。したがって、我々は、単なるカードでもなく、単なるSRでもなく、この特定のSRのカードを求める。他のカードではダメなのである。そのために、ガチャを回すのである。ガチャガチャ。


 結論として、かように堕落した資本主義的集金システムを用意したちひろは、科学的無神論者である私からしても、悪魔の化身であるように思われる。

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